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10代が妊娠に至る背景について、状況の最前線にいる婦人科クリニックの医師たちは、
10代の子ども達への性教育と避妊の知識が充分にあれば防げた可能性は大きいといいます。最近の10代は、性に関する情報は多く取り入れているにもかかわらず、避妊の知識には乏しいと感じることが多いそうです。
また、婦人科クリニックへの診察を敬遠することでおこる、さまざまな問題(性感染症やHIVなど)にも心を痛めています。特に10代の妊娠の場合は、そのほとんどが「予期していない」「望まない」妊娠です。
また、10 代全体の中絶率は低下傾向にある中で、15 歳以下の中絶数はこの 10 年余り、あまり変化していないこともあり、より具体的で子どもたちのニーズにこた える実効性のある性教育の必要性から、学校性教育の国際的な標準に沿ったプログラムへの変更を望む声も聞かれます。
妊娠した10代女性の半数以上が人工妊娠中絶を選択していますが、若年者ほど初診時期が遅く妊娠継続について悩んでいる間に妊娠週数が進み出産にいたるという問題が発生しています。
しかし、出産した場合でも身体的な不利益よりも 社会的な不利益の方がより大きいといった研究も多く見られるようです。その内容としては、世帯の無職など経済的な問題が多く、10代の妊娠に関しては深刻なケースがあるのも事実です。
若年妊娠に至る女性たちは、経済的に問題がある、いわゆる貧困家庭で育ち、親からの搾取のみならず、身体的暴力や心理的虐待、さらには性的虐待などを受けてきた場合もあります。結果的に誰にも相談できないまま出産に至り、新生児を遺棄したり、0日目の虐待死につながるケースさえあります。
こうした虐待による死亡や若年妊娠を防止するためにも、性に関する教育や育児支援など、法整備とともに早急な対策がのぞまれてます。
10代は精神的・身体的にもまだ未 熟な状態です。妊娠というデリケートな問題に直面したとき、周囲とのコミュニケーション不全がおこり、問題の抱え込みによる事態の深刻化が 起こりやすくなります。
10代では、ほとんどが経済的基盤もなく、親への依存傾向が強いことは言うまでもないでしょう。こうした状況の中で婦人科クリニックへの受診費用や中絶費用について悩んでいるうちに妊娠週数が進み出産にいたるというケースは少なくありません。しかし、10代で産む選択をした女性への社会的支援は乏しく、家族のサポートを受けることが難しい場合は子育てが困難となり、施設を利用するようになるのが現実の問題として起こっています。
初めて性交する年齢(初交年齢)は低年齢化し、高校卒業時、性交経験者は4割をこえているにも関わらず、性の知識は非常に乏しいのが実情であり、妊娠の心配はしていても知識が乏しく、さらに性感染症の予防にいたってはまったくの無防備であることが多いといいます。
妊娠がわかった途端に「子ども」から「親」という、急激に変化した立場にたたされることで、心身共にストレスフルな状況におかれることになります。ただでさえ現実的な育児に追われ、多くの場合10代の妊婦や親が世間に快く受けいれられる状況は少ないことから、不安や緊張のレベルが高くなることが予想できます。
本来であれば、親からの心理的自立よって自己を確立してゆく過渡期であるはずの時期に、親として子育てをしなければならないのですから周囲のサポートが重要になってくるでしょう。
10代の妊娠を防ぐための有効な手段のひとつ避妊。
コンドームだけでなく、さまざまな種類があり、若年層が避妊方法について正しい知識を持つためには、先ず伝える立場にある大人たちも正しい避妊の知識を持つことが大切です。
そして、男性も女性も、両者が正しい避妊の知識を持つことです。
妊娠は、詰まるところ女の子が引き受けなければなりません。避妊について男性任せにせず、女性が主導権を持って避妊できる方法を優先させるべきではないでしょうか。
妊娠してしまった10代の女性の多くから聞かれる「拒絶して嫌われたくなかった」という言葉。そして10代の女の子たちはセックスをすることで妊娠の可能性があることは知っていながら、それを自分のこととして考えていないと言います。
そんな10代は、精神的に未熟なままでも体は大人になっています。まだ子どもだからと、セックスについて語らない大人(親)は多いものですが、隠すのは止めて大人(親)がきちんと伝えるべきことを教え、伝え、そして子どもたちと一緒に妊娠や性行為についてよく考え、いちばん身近で頼れる相談相手となる必要があります。
10代の妊娠を防止する対策として、関係者からたびたび議論の的とされる問題のひとつに法整備があります。
相談相手を得ることが難しい妊娠の問題に対処するためには、気軽に相談できるカウンセリングシステムなどがあれば望ましいことですが、日本の多くの婦人科クリニックでは親の承諾なく診療を行うことを躊躇したり、保護者同伴での来院を求めています。
こうした状況から、10代の女性が婦人科のクリニックを受診する必要があるとわかっている状況(既に妊娠検査薬で陽性反応が出ているなど)に置かれていながら、学校や親に知られてしまうことを恐れて、その受診をためらったり、費用の問題で受診を躊躇している間に、中絶手術が可能な時期を過ぎてしまうといった症例は後を絶ちません。
そのため、親の承諾がなくても婦人科クリニックが医療を提供できるようにしたり、スウェーデンなどのように無料で避妊や中絶できるような制度や受け皿としてのシステム作り、若年層の自己決定権と親権のあり方などについて議論し法整備を行うことが、10代の女性の早期受診につながるのではないかと期待されているのです。
しかし、望まない10代の妊娠の事例の中には、貧困や暴力など生活環境に問題を抱え、困難な状況におかれていることも多く、さらに暴力や貧困は、世代を超えて連鎖しやすいといわれながらも、虐待や貧困に対する福祉や医療の対策は、社会的なコストが大きいといった問題もあり対策が追いつけないのが現状です。
そんな状況の中で、望まない妊娠を防止するための確実な避妊と教育にコストを費やす方が、効果が高いという意見もあるようですが医療や保険の法整備はなかなか進まないようです。
10代の妊娠・出産の場合にはパートナーも若年者で あることが多いため、安定した収入が得られない状 況であることが多く、家族の支援により経 済がなりたっているというのが現状です。
にもかかわらず10代の妊娠・出産に関する支援は、一般的な妊産婦ケアと比較しても少ないと言わざるを得ません。一般的な妊産婦でも、身体の回復とともに子育て環境などが焦点となりますが、10代の母親にはそれ以外にも母親自身が成人として成長発達してゆく途上にあることを考慮しなければなりません。しかし、育児の指導や地域での生活支援機関との連携をみても、支援につながるようなシステムはみあたりません。
さらに親となった女の子たちは義務教育の途中や高校生であることがほとんどで、学業の中断はその後の経済的生活基盤に関わる重要な問題と関係しています。そのためか、自分で養育せずに里子に出すケースがほとんどで、自分で養育すると言いつつも実母や祖母に子育てを任せている場合も多いのが実態です。
現在、国の補助により、自費診療 である妊婦健康診査の費用の自己負担額が少なく なっています。また、出産一時金の支払いシステ ムの変更により利用者負担の軽減措置が採られてい るようです。
しかし、10代妊婦の支援のあり方 については、課題や不備も多く、予防も含め今後さらに支援の充実をはかる必要がありそうです。
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